婿入り希望の御曹司様とCool Beautyな彼女の結婚攻防戦〜長女圭衣の誰にも言えない3つの秘密〜花村三姉妹 圭衣と大和の物語

僕と圭衣ちゃんと深まる溝

キラリとの件を片付けて、急いで涼介の事務所を出た足で向かう場所は、圭衣ちゃんのマンション。途中、スーパーへ立ち寄り夕飯の買い物を済ませた。


数週間ぶりだな、こんな風に買い物して圭衣ちゃんのマンションで夕飯を作るのは。今夜は彼女の好きな生姜焼きにしよう。




車をマンションの地下駐車場に停め、彼女の部屋へ行くためにエレベーターに乗り込む。合鍵を使って部屋に入り、手を洗ってから夕飯の準備に取り掛かる。


付け合わせのキャベツを千切りにしながら、この数週間を思い出している。


キラリの問題で圭衣ちゃんに被害が出るのが怖くて、しばらく距離を置かなければならなかった。彼女の父親であるジョセフさんは、セキュリティーガードのことは圭衣ちゃんに伝えないと言っていた。余計な心配をかけたくないからと。まさかキラリが以前ストーカー問題を起こしていたとは。


思ったより時間がかかってしまったが、ピーターズファミリークラブでのことも一緒に解決できたから、よしとしよう。これで圭衣ちゃんに僕が秘密にしていることを打ち明けられる。


圭衣ちゃんは僕のこの趣味を受け入れてくれるかな？


すでに何回もプロポーズを仄(ほの)めかしていた。そのたびに彼女からは理由をつけて先延ばしにされている。


彼女と離れたこの数週間、改めて圭衣ちゃんしか僕にはいないって思った。彼女と一緒にいるあの心地よい空間。だから今日、正直に僕のこの秘密も知ってもらおう。


以前は『隠し通して結婚しちゃえばいいか』なんて考えたりもした。でもそれは違うよね、嘘をついているようで。もう隠し通したくないんだ、圭衣ちゃんには。


わかってもらいたい、本当の僕を。
愛してほしい、本当の僕を。


でもこの時の僕は、重要なことを完全に忘れていたことに気が付きもしなかった。