諦めたはずの恋なのに、再会した航空自衛官に秘密の双子ベビーごと愛されています
プロローグ

運命に引き合わされて

 一度目の再会は、運命だと思った。だけど、二度目の再会は、天罰だと思った。

 茨城(いばらき)空港の展望デッキ。ここからは、民官共用の滑走路の向こうに、航空自衛隊百里(ひゃくり)基地が見える。

 配備されている戦闘機は、昨日までFー2のみだった。〝彼〟は、Fー15、イーグル戦闘機のパイロットだ。だから、ここにいれば会うことなんてないと思っていた。

 良く晴れた秋の夕方。私、帆風(ほかぜ)千愛里(ちあり)はいつものように、百里基地を眺めていた。

 洋上迷彩という、ブルーに塗られた機体の戦闘機が、Fー2。今日はその隣に、航空迷彩であるグレーの塗装の機体が並んで駐機していた。
 あれが、Fー15。沖縄からやってきた飛行隊が、今日、この地に配備されたのだ。

 夕日に照らされ、戦闘機の窓がきらりと光る。思わず目を細めると、まぶたの裏に〝彼〟の微笑が浮かんだ。

 すると途端に、罪悪感がこみ上げる。私は〝彼〟を傷つけた。

 ――明日も〝彼〟が幸せでありますように。

 遠くから、今はここにいない〝彼〟を思う。これが、私の日課であり、彼への懺悔だ。

 そろそろ、子どもたちのお迎えに行かなくては。

 彼に黙って三年前に産んだ愛しい双子の我が子、瑞月と琉星の顔を思い浮かべ、私は気持ちを切り替える。それから、デッキを後にしようと振り返った。

「千愛里……?」
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