諦めたはずの恋なのに、再会した航空自衛官に秘密の双子ベビーごと愛されています
第四章

彼の愛に戸惑う日々

「今日はホットとアイス、どっちにする?」

 いつもと同じように仕事終わりに空港内のカフェに寄ると、レジにいた黒木さんに注文するより先にそう言われた。

「今日はホットで頂きます」

 彼女の優しい笑みに、私も微笑み返す。スマホで支払いを済ませていると、耳元で黒木さんが言った。

「今日も彼、デッキでお待ちよ」

 それで、私の頬は緩んでしまう。〝彼〟というのは、もちろん伊澄さんのことだ。

 あの日から、一週間が過ぎた。
 伊澄さんはその日の仕事量や任務の出来、当直などもあるから、休日以外はいつ会えるか分からない。
 だけど予定が合いそうな日は、いつも空港に私を迎えに来てくれる。

 黒木さんが伊澄さんを知っていると分かったのは、伊澄さんに告白をされた翌日だった。

 あの日、黒木さんは我が家の玄関からでてきた伊澄さんと鉢合わせたらしい。見慣れない車が我が家に止まっているのを見て、気にかけ様子を見に来てくれたのだ。
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