諦めたはずの恋なのに、再会した航空自衛官に秘密の双子ベビーごと愛されています
第五章

想いの全てを受け取って

 秋めいていた空気はすっかり気配をひそめ、朝晩の冷え込みは冬の到来を知らせる。

「最近すっかり寒いわね」

 今日もいつものように仕事終わりにカフェに寄ると、レジで黒木さんにそう言われた。

「はい。この時期になると、子どもたちと同じお布団で寝られて幸せだなって余計に思います」

 笑みを向け、温かいカフェラテを受け取る。

「その顔は、寂しいから?」

 不意に黒木さんに訊かれ、私はぴくりと反応してしまった。つとめて笑顔でいたつもりだけど、彼女には隠せていなかったらしい。
 あの日以降、伊澄さんとは平日もなかなか会えない。任務が急に忙しくなったようだ。

「彼、最近ここに来ないものね」
「はい。でも、会いたいなんて言えないです。彼には、仕事に一生懸命でいて欲しいので」

 言いながら、私はつい胸元の指輪に触れてしまった。
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