諦めたはずの恋なのに、再会した航空自衛官に秘密の双子ベビーごと愛されています
第八章

伝えた覚悟と新たな事実

「羽田には来ないのか、それは残念」

 私は昼休憩中、いつものように口説きに来た丸部キャプテンにそう告げていた。 

 本当はカフェで伊澄さんを待っていようと思ったのだけれど、丸部キャプテンがあまりにも口説いてくるので仕方なく彼をここに連れてきた。
 彼に私の決意を告げ、羽田行きを断るにもそれがいいと思ったのだ。

「はい。熱心に口説いていただいたのに、ご期待に添えず申し訳ございません」

 ぺこりと頭を下げる。顔を上げると、丸部キャプテンはなぜか朗らかな笑みを浮かべていた。

「ということは、恋がうまくいったということかな?」

 思わず胸がどきりと跳ね、同時に幸せがやってくる。

「はい。彼と共に、生きる覚悟を決めました」
「それなら、良かったよ」

 丸部キャプテンが目尻を和らげ、そこに優しい皺が寄る。

 他人に祝福されるのは、まだ照れ臭い。私は頬が熱くなるのを感じながら、これからは彼と共に歩むのだと心意気新たにする。
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