諦めたはずの恋なのに、再会した航空自衛官に秘密の双子ベビーごと愛されています
エピローグ

旦那様はイーグルライダー

 寒い冬を越え、桜の舞う季節を越え。

 梅雨間近の春の日に、私たちは結婚式を挙げた。航空自衛官の制服姿の伊澄さんは、見惚れるほどかっこいい。

 親族席では、むすっとした父が座っている。
 丸部キャプテンはひょうひょうと笑い、その隣では伊澄さんのお母さんがため息をこぼしていた。

 まさか、航空祭で出会ったあの方が伊澄さんのお母さんだったなんて。
 知った時は驚いたが、綺麗な顔と強い意志を持つところは、伊澄さんとそっくりだと思った。

 唇を尖らせる楠木さんと嬉しそうな清水さん。子どもたちの隣に座り、涙ながらに私たちを祝福してくれる黒木さん。
 奥の方には、大雅と由芽さんも駆けつけてくれたのが見えた。

 私たちが再会し、結ばれるまでの軌跡には、たくさんの人がいてくれた。
 再会は天罰などではなかった。皆が、私たちをつないでくれたのだ。
 今日を迎えられたことへの感謝の気持ちを込めて、私は世界一幸せな花嫁だと胸を張る。

 改めて夫婦の誓いを交わしたこの日。
 彼と過ごす幸せな未来が、空のように果てしなく続くことを祈った。
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