諦めたはずの恋なのに、再会した航空自衛官に秘密の双子ベビーごと愛されています

夢のような時間

 それから、私たちは順調に交際を続けた。

 仕事終わりに少し会って話をしたり、日曜の昼間に出かけたり。
 父の手前、大がかりに出かけることは出来なかったが、それでも私たちなりのペースでのお付き合いができて、毎日が幸せだ。

 寒い冬を越え、桜の咲き乱れる春を過ぎた頃。今日も私は、伊澄さんと束の間のデートを楽しんでいた。

 日曜の今日、私と伊澄さんは小松空港のカフェに来ていた。この場所は私の職場の隣であるし、父の会社の関係者も少ない。そんな立地が私たちのデートにはうってつけなのだ。

 互いに温かいカフェラテを注文すると、私たちはカフェの隣にある展望デッキに出た。ここからは、飛び立つ航空機が間近に見える。

「今度、アラスカに行くことになった」

 彼に寄り添いながら空へと飛んでいく民間機を見ていると、不意に伊澄さんが言った。唐突な話に、私はきょとんとしてしまう。
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