すべてはあの花のために①
通報したんですか?
――次の日。
「(昨日はああ言ったものの、いざ来てみると……)」
キサに会うのが気不味い葵は、生徒会室の前で、うろうろしていた。
((端から見たら完璧に不審者ですけど))
「(酷いな! これでも一応ヒロインだぞ!)」
((残念なお知らせです))
「(な、なんだよお……)」
((作者は最近、女王様かオカマかツンデレにゃんこをヒロインにすべきだったと後悔しているらしい))
「(どうして!? き、キサちゃんに負けたのはなんとなくわかる気よ! 何せあの子は、可愛くてノリもよくて、女の子らしいからね! 百歩譲ってツバサくんに負けたのも許そう! わたしにあの色っぽい感じは出せない! でも何故チカくんに負けたんですか! 完全男の子じゃないですか! 説明してください!)」
((にゃんこは……あんたも薄々気付いているんじゃないの))
「(うっ! そ、それは……)」
((デレた時はそりゃもう可愛いし、照れた時なんか『お前は乙女か!』って言いたいくらい真っ赤になるんだぞ? あんたにそんな要素があるのか。いいや無い))
「(それは、わたしに言われても……)」
((いつもいつも表情崩さないように我慢して、しかも昨日は? イケメンにビンタ食らわしてくれちゃたみたいだし? もうちょっとイイ感じになってくれませんかねえ?))
「(ぜ、善処しますです。……にしても、今日はなんでこんなに機嫌悪い…………あ、生理?)」
((何か言った……?))
「(ひい……!!)」
みたいなやりとりをしながら、葵は頭を抱えて扉の前で蹲っていた。
「……あっちゃん? どうしたの? 頭痛い?」
すると後ろから、相変わらず凛とした、でも可愛らしい彼女の声が。
「き、キサちゃん!」
心構えを全然していなかったので、早速キサに会って葵は大慌てである。
「いや、あのね? これは別に、わたしが変態だからとかじゃなくって……」
「? あっちゃんは最初から変態じゃなーい」
「うっ!!(グサッ)」
言葉のナイフが葵の胸に突き刺さった。今度は胸を押さえて再び蹲る。
「あっちゃん!? 一体どうしたんだ!? 救急車呼ぶ?! それとも警察呼ぶ?!」
えーと。すみません、警察はやめてくださいね。この話が終わってしまうので。そこんとこひとつよろしくお願いします。