すべてはあの花のために①

まさか、これで警察さんのお世話になるなんてことは……?


それから葵とチカゼは学校の駐輪場へ来ていたが……さっきの出来事があってから、二人の間には照れくささの滲む距離が生まれてい。


「(さっきのはお礼さっきのはお礼さっきのはお礼さっきのはお礼さっきのはお礼さっきのは――)」

((念仏唱えてるみたいですごい怖いんだけどっ。それより、早く行くんじゃないの? あのヘタレ、もう帰ってるとかない?))

「(そうだった!)チカくん、それで彼はどこにいるか知ってるの? てか、もう夜遅いからその場所にいないとか……」

「それなら多分大丈夫だ。それに……今日はまだ、あそこにいると思う」

「(あそこ?)なんで、そんなことわかるんだ?」

「ま、それは行きながら教えてやるよ。取り敢えずだ」


 ほれ、と。彼は自転車の後ろを、ちょいちょいと指差した。


「チカくん、今日は自転車で来たんだね」

「は? ちげーよ。これは学校の。オレ基本歩きだろ」


 はてさて。彼は何故そんなに怒ってるんでしょう。
 まだ照れてるんでしょうかね。まあそれはさておいて。


「お前、まさか乗れねーとかじゃないよな」

「そんなわけ! ……よっと。ほら、早く行こ?」


 ちょんちょんと、上目遣いで服を摘まれた日にゃ、チカゼはもうたじたじである。


「(〜〜っ、くそっ!)しっかり捕まってろよ!」

「あれ? チカくんどうしたんだ? 顔が」

「ちょっと静かにしてなさい」

「は、はい」


 そして二人を乗せた自転車は、ある目的地へ向けて出発したのだった。


「(……あれ。まさか、これで警察さんのお世話になるなんてことは……?)」

((その辺はいい感じにしてくれると思うよ。ほら。だから今は、さっさと聞いておきたいこと聞いときな))

「(そうだね! そうする!)」
(※二人乗りは禁止です。そして自転車に乗るときはヘルメットを忘れずに)


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