すべてはあの花のために①

side……




 ――……誰もが寝静まった深夜。

 真っ暗の部屋の中、唯一照らしているのは、机の上の光のみ。

 そこに佇む黒い影。
 その手だけが何度も、何度も同じ動きを繰り返す。


 ペラ……ペラ……。

 その黒い影は、何かを読んでいるようだ。



「…………」


 何を読み終わったのか。机の引き出しに、それをしまう。

 そして何事もなかったかのように、その黒い影は静かに眠りについた。




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