すべてはあの花のために①
はい喜んで!!
「お父様。わたしが今から質問することに正直に答えなさい」
「……はい?」
「お母様」
「うんっ。何かしら?」
「この人の解答によってはこの人をぶん殴るかも知れないんですけど、いいですか」
「もちろん! あたしは今すぐにでも殴って欲しいわっ」
「ですよね。流石お母様。話がわかりますね」
「あなたに言われなかったら、あたしが手出しそうとしてたから」
「ありがとうございます。それじゃあ、その時は遠慮無く」
「あたしも一緒に参加させてもらうわね」
「「ふふふふふふ」」
「「「……!?」」」
葵とキサ母が怒りながら恐ろしい内容の会話をしたり、不気味に笑い出したりしたので、男三人は互いの体を抱き締めて恐怖に震えた。
「ではまず一つ目。あなたは今、桜庭本家が嫌いですか」
「……苦手、かな。少なくとも彼女と結婚させてくれたことと、あの子と家族になるのを許してくれたことに関してはとても感謝している」
「では二つ目。あなたは今、桐生本家が嫌いですか」
「……何とも言えない。桐生本家がなければ、桐生にも杜真くんにも、紀紗にも会えなかっ――」
――パンッ!
返答を言い終わる前に、耳の真横で両手を打ち合わされたキサ父は、鼓膜が破れそうなほどの音に顔を歪ませた。
「お父様、わたしは正直に答えなさいって言ったんですよ」
「……だから正直に」
「わたしは今はどうかって聞いてんですよ。この状況になってまでどうなのかって聞いてるんです」
「――! ……憎いよ。俺たちの子どもたちを勝手に巻き込んだことは、絶対に許せない」
「わかりました。では三つ目。あなたは桐生さん、トーマさん、キサちゃん、お母様、チカくん、キク先生が大好きですか」
「うん。大好きだし、愛してるよ」
どうしてこんな質問をするのだろうかと、キサ父は改めて首を傾げる。
「あなたは何もしてあげられなかったと言いましたが、本当にあなたは何もできませんでしたか?」
「……どういうことだい?」
「彼女に、たくさんの愛情注いであげたんじゃないんですか? だから、彼女はあなたたちが大好きになった。だから今、彼女はここにいないんじゃないんですか?」