すべてはあの花のために①
八章 ツツジ

『『キサー!』』
『遊びに来たぞー』

『あらいらっしゃい。部屋にいるから行ってみてくれるかしら』


 二階にある彼女の部屋へ上がる階段の途中、一人がこんなことを提案した。――ちょっと驚かしてやろうぜ、と。


『おどろかす?』
『どうやって?』
『たんじゅんに、ワッ! ってさ』


 うんうん、それは名案だ。
 頷き合った三人は、足音を忍ばせ静かに部屋の前へと移動する。扉が、少しだけ開いていた。

 しかし、彼らにとっては好都合。三人はタイミングを見計らうように、中の様子を覗いて見ることに。


『いひひひひひひひひ』
『『『!?!?!?』』』


 そこには、片手に人形を持ち、何かを前に不気味な笑い声を上げている、まだ幼い少女がいた。


『さああんたたち、ひざまずきなさあい……?』


 怖いもの見たさとは、きっとこういうことを言うのだろう。三人は幼心にそんなことを思いながら、もう少しだけ、部屋の扉を開けてみることに。


『あたしのめいれいがきけないとは、いいどきょうね! そんなわる〜いこどもたちには、たっぷりたてしゃかいというものをおしえてあげないとねえ?』

『『?!?!』』
『たっ?! ……たてしゃかいってなに?』

『こんやは、ざんぎょーかくていよ!』



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