すべてはあの花のために①

こんな奴とは失礼な




 翌日。葵はカナデに言われた通り、8時10分前に生徒会室へと来ていた。……それにしても。
 生徒会室には始めて入った葵は、死んだ魚のような目でぐるりと部屋を一周見渡して……一言。


「(なんでこんなに煌びやかなんだ!?)」


 まず扉だ。理事長室でも思ったが、取っ手には綺麗な細かい細工が施されており、大きな扉も……その取っ手以上に美しい。


「(こんなとこにお金かけるなら、Sクラスの人数増やしたらいいのに)」


 入ってみると……もうおわかりだろう。扉以上の綺麗さ。豪華さだ。机やソファー、食器棚など。いろいろと置いてあるが、やっぱり一番目を引くのは……。


「(……国王様でもお座りになられるんでしょうかねえ)」


 玉座のような真っ赤で、ゴージャスで、……もうわけがわからないくらいは高そうな椅子。恐らくは生徒会長の椅子だろうが、実際あそこまでする必要は絶対にない!



「あ! あっちゃん、もう来てたんだね~」


 この生徒会室の値踏みをしようとしていたら、キサに続き、他のメンバーもやってきた。今日は、みんなきちんと制服を着ているみたいだ。


「(ベッドその他諸々あるし、普通にここ住めるよ? そして恐らく、ここだけで家数軒は普通にイケると見たっ!)」


 査定が終了したところでキサが「それじゃあ、時間もないことだし」と話を切り出した。どうやら、例の生徒会の大仕事について話してくれるようだ。


「あっちゃん。今日の朝のホームルームが、講堂でされるのは知ってるよね?」

「うん。確か、新生徒会のお披露目……だっけ? 一人ずつ挨拶したりするんでしょ?」

「そうそう。まあ、そのお披露目の最中は全然大丈夫なんだけどねー」

「?」

「つまり、その式が終わったら途轍もなく大変なことになるから、覚悟しとけってこと」


 いや、全くもって意味がわからない。お披露目終わったら普通に授業でしょうよチカゼさん。


「ちなみに、多分だけど一限目は授業受けられないと思うから~」


 は? カナデさん? どういうこと?
 教えるとか言いながら誰一人からも全然教わってないまま、新生徒会のお披露目をするために、葵たちは講堂へと移動していった。


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