すべてはあの花のために②

また携帯さんに失礼なことするとこだった!


「……ん。あ、れ? ここは……」


 目を覚ますと、そこは生徒会室の仮眠室だった。


「あれ? わたし、どうしたんだっけ……」


 記憶を辿っていると、左手が温かいことに気付く。


「(……えっ。ひ、ヒナタ、くん……?)」


 ヒナタが葵の左手を握りながら、ベッドに突っ伏して眠っていたのだ。
 葵は、空いている右手で彼の明るくてやわらかい頭を、そっと撫でる。


「……ありがとうヒナタくん。おかげであったかかったよ」


 起こさないよう、囁いただけのつもりだった。


「そ。それはよかった」


 でも何故か、眠っていたはずのお目々とバッチリ目が合っていた。


< 101 / 286 >

この作品をシェア

pagetop