すべてはあの花のために②

地獄を見て来いっ!


 その後、無線で作業がすべて終了したことと、業者の三人がいないという連絡を受けた葵は、三人と共に責任者の元へと赴いた。事情を話すと「馬鹿野郎」とだけ言って拳骨を一人ずつ食らわしていたものの、親方と呼ばれた彼の目は、とてもやさしいものだった。

 生徒会室に戻ると、アカネはもう帰ってしまったよう。決して無責任な子ではないから、自分の仕事はきちんと最後まで熟してくれるだろう。


「そういえばカナデくん。いつの間にか合作出来てたんだね?」


 声を掛けたが、カナデは何か考え込んでいるようだった。


「葵、明日の準備は大丈夫そうか?」

「うん。大丈夫だと思う。ただちょっとだけ残って作業したいことがあるから、今日は先に帰ってもらっててもいいかな?」

「……ごめん! 俺もちょっと合作の仕上げし忘れたところがあるから先帰ってて!」


 みんなは葵たちを手伝おうとしてくれたが、「大丈夫だよ~」と二人で断っておいた。
 生徒会室の扉が閉まってから、ふうと同時に息を吐く。


「カナデくん。それは無理があるよ。作品はもう校舎の上じゃない」

「ですよね~……はは」

「……カナデくん?」

「取り敢えずアオイちゃんさ……」


 一体どうしたというのだろう。彼は嘘をつくのが下手ではないはず――。


「ベッド行こうか」
「地獄を見て来いっ!」
「ぐふっ!」


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