すべてはあの花のために②

ナイスタイミング!


 ただいま、キサの両親を交えてみんなで昼食中。


「なあ! どういうことなんだよっ!」
「ねえ。どういうこと」
「(ぷんぷん!)」

「ど、どういうことと言われましても……」


 アカネにヘルプの視線を向けるが「しょうがないよねえー? おれが気になっちゃうんだもんねえ~?」と、余計に話をこじらせてしまい、他の男共の怒りは一気に頂点に。


「葵ちゃんのまわりはいつも賑やかね」

「本当にねー」

「あ。菊ちゃんおいなりさんいる?」

「ん。もらうわー」


 楽しそうにしている桜庭一家とキク。それにしても彼はいつでも自由ですね。いっそそこまで行くと清々しいので、誰も恋人なんて疑いもしないんですよ、きっと。

 その時、葵の携帯からお呼び出しが――「(ナイスタイミング!)」――しかも電話だったのでみんなに断って席を外し、近くの校舎裏へ急いだ。


「もしもーし。どうしたの~?」

『そっちこそどうしたの。やけに嬉しそうじゃん』


 電話の相手は専属執事からである。


「今どう~しても誰かに邪魔して欲しかったの!」

『意味わかんないんだけど』

「まあそれはいいとして。本当にどうしたの?」

『うん。楽しんでるかなと思って』

「そんなに見たいなら来ればいいのに!」

『何言ってんの。一回失踪した奴ホイホイみんなの前出させないでよ』

「シントがそれでいいならわたしはいいけど……」

『それで? 楽しんでる?』

「うん! 今年はすっごい楽しいよ!」

『そっか。よかったね』

「来年。……楽しみだなあ」

『うん。……今年もしっかり楽しんでおいで?』

「うんっ。そうする!」

『今日は片付けとかある? 遅くなる?』

「そうだね。また遅くなるなら連絡する!」

『……うん。わかった。早く帰ってきて』

「あれ? 何かあったの?」

『昨日のベッドでの続き、しよ?』

「……っ、バカじゃないの?!」


< 144 / 286 >

この作品をシェア

pagetop