すべてはあの花のために②
ナイスタイミング!
ただいま、キサの両親を交えてみんなで昼食中。
「なあ! どういうことなんだよっ!」
「ねえ。どういうこと」
「(ぷんぷん!)」
「ど、どういうことと言われましても……」
アカネにヘルプの視線を向けるが「しょうがないよねえー? おれが気になっちゃうんだもんねえ~?」と、余計に話をこじらせてしまい、他の男共の怒りは一気に頂点に。
「葵ちゃんのまわりはいつも賑やかね」
「本当にねー」
「あ。菊ちゃんおいなりさんいる?」
「ん。もらうわー」
楽しそうにしている桜庭一家とキク。それにしても彼はいつでも自由ですね。いっそそこまで行くと清々しいので、誰も恋人なんて疑いもしないんですよ、きっと。
その時、葵の携帯からお呼び出しが――「(ナイスタイミング!)」――しかも電話だったのでみんなに断って席を外し、近くの校舎裏へ急いだ。
「もしもーし。どうしたの~?」
『そっちこそどうしたの。やけに嬉しそうじゃん』
電話の相手は専属執事からである。
「今どう~しても誰かに邪魔して欲しかったの!」
『意味わかんないんだけど』
「まあそれはいいとして。本当にどうしたの?」
『うん。楽しんでるかなと思って』
「そんなに見たいなら来ればいいのに!」
『何言ってんの。一回失踪した奴ホイホイみんなの前出させないでよ』
「シントがそれでいいならわたしはいいけど……」
『それで? 楽しんでる?』
「うん! 今年はすっごい楽しいよ!」
『そっか。よかったね』
「来年。……楽しみだなあ」
『うん。……今年もしっかり楽しんでおいで?』
「うんっ。そうする!」
『今日は片付けとかある? 遅くなる?』
「そうだね。また遅くなるなら連絡する!」
『……うん。わかった。早く帰ってきて』
「あれ? 何かあったの?」
『昨日のベッドでの続き、しよ?』
「……っ、バカじゃないの?!」