すべてはあの花のために②
あながち間違いじゃない
「あ! あっちゃんおかえり~。遅かったね? 心配したんだよー。なんだなんだー? もしかしてラブコールでもあったのか?」
「(どうしよう、あながち間違いじゃない……)」
葵が考え込んでいると、「え? 本当なの?」とキサが聞いてきたので、「判断を悩んでたところ」と答えると、みんなが一斉にこちらを向いてきて怖かった。
「あ! あおいチャンもう帰ってきてたんだね~! すれ違いになっちゃったよお~」
そうこうしていると、アカネが元気よく帰ってきてくれた。
「あれ? もしかしてアカネくん、わたしのこと捜しに来てくれてたの?」
「うん! そおだよおー! だって、あおいチャンが気になってるおれが、捜しに行ってあげないとお?」
アカネの言葉に、再び苛々最高潮。
さて。そろそろネタバレと行きますか。
「みんななんでそんなに怒ってるのか知らないけど、わたしはアカネくんがすっごい話をしてくれるって言うから、それが気になってしょうがないだけなんだけど」
「あおいチャン、そんなに強調しないでよ。ハードルが上がるから……」
みんなは「なんだ~」っと言いながらほっと息をついていた。
「むう! それはそれでむかつくなあ! いいもんいいもんっ。おれはあおいチャンとデートの約束まで取り付けてるもんね? ねえあおいチャン、いつデート行こっかあ~」
「お! そういえばそうだったね! いつにしようか!」
取り敢えず元の雰囲気に戻ったところで、玉入れもSクラスの親御さんたちの頑張りのおかげで、また少し点差が広がった。
「(次はいよいよ、争っていたフォークダンスかあ)」
3年生はみんなで一つの大きな輪を作り、内側と外側で逆方向に回りながらダンスをする。
恥ずかしそうだけど幸せそうで、そんな彼らが葵は微笑ましかった。
「(よかったね。無事に勝ち取れて)」
そう思っていると、ツバサとアカネは次の大縄の準備に入場門のところへ移動するよう。その時アカネと目が合って、にっこりこちらを見てきたので、葵も笑い返しておいた。