すべてはあの花のために②
ど、どっちなんだろう
『位置について…………』
それぞれのクラスの第一走者が並ぶ。走り出す体勢を整えて……。
――パンッ!
大きなピストルの音とともに一斉に走り出す――――。
ここからはカナデの実況でお送りします。
『さあ始まりました最終競技! Sクラスが断トツかと思われましたが、棒倒しでの敗退が大きく響き、どのクラスも接戦になっております! いやー。女の子が走るとテンション上がるよね~! ――っ! おっとここでSクラス女子が転倒! 頑張って走りきってなんとか第2走者にバトンを繋ぎますが追いつけません!
大きく引き離されたまま、なんとかこれ以上離されまいと必死にSクラスはAクラス、Bクラスに食いついています! 男だろー! 根性で走れえー!
ここで第3走者の各クラスは女子へバトンを渡します! おーっと! どうやらAクラスは、一番最初にこの作品の物語を進めてくれた、つんけんしていた方の女の子が走っています! 君のおかげで始まったと言っても過言ではありません! 作者の代わりに俺がお礼を言います! ありがとー!
さあここで第4走者にそれぞれバトンが渡されます! アキー! 頑張れー! 黄色い声援が途轍もないです! 大きく離れてしまった距離を、無表情で一気に詰めていきます!』
そうこうしているうちに一つ前のクラスがもう少しで抜けそうになる。
「(…………よしっ!)」
葵は自分に活を入れて、「アキラくーん!」と手を上げて叫ぶ。
「――行け葵!」
葵は不敵な笑みでバトンをしっかり受け取り、前のクラスを追いかけていく――。