すべてはあの花のために②

side……


 葵がシャワーに行っている間、みんなはこれからについての話をしていた。


「にしても、あおいさんはすごいなあかね」

「でしょでしょ! ほんとにすごいし、可愛いんだあ」

「頑張ってあの子をお嫁にもらってきなさい! わかった?」

「ダメだよおばさーん。あの子はモッテモテだから、そう易々と手に入るとは思わない方がいいよー?」

「ええ! この美女にそんなこと言うのはかなチャン! 久し振りねっ! 一段と格好よくなってまあ。……それはそうと、どういうことなのそれは」

「ただ柔道が強いからって、あの子は手に入らないよってことー」


 そんな会話をしながらも、アサジは何か考え事をしているようだった。


「おじいちゃん? どうしたの?」

「……いや、なんでもない。多分わしの勘違いじゃろう」

「? 勘違い?」


 そうして今度はアカネとカナデ、二人で話を始める。


「ねえかなチャン。そろそろ、おれも本気になろうかと思うんだあ」

「……そっか」

「あれ? かなチャンどうしたの? 元気ないね?」

「そんなことないよ? ただ、アオイちゃんは可愛いよねーと思って」

「うんそうだね! おれもそう思う!」

「うん。とっても強いしね」

「そうそう! おれ、敵多いけど頑張るよお!」

「おー頑張りなさいよー」

「え? か、かなチャン?」


 アカネが様子のおかしいカナデの表情を覗き込もうと思った、その時――がたんっ! とシャワー室から大きな音が。

 慌ててナズナが様子を見に行くと。


「ちょっと! 誰か来て!」


 彼女の叫び声に、今度はみんなでシャワー室に向かった。


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