すべてはあの花のために②
十七章 標的

いたなら声かけてよー


 体育祭が無事に終わり、生徒会は次の文化祭準備に明け暮れていた。それに加え、アカネとカナデが次の文化祭作品作りに取り掛かる中、体育祭の一件もあったことで、日頃の見回りも強化することに。それでもなかなか尻尾は掴めないでいた。

 そんな10月下旬。葵たちを襲う黒い影が、忍び寄っていた。


「このメンバーで帰りが一緒なんて新鮮〜!」


 その日、葵はキサとチカゼと一緒に帰っていた。


「それにしても、一体何だったんだろーな。あいつらは何が目的で、体育祭の時お前に回し蹴りを食らったんだか」

「好きで食らいに行くわけないでしょう。まあ、あっちゃんみたいな変態さんだったら話は別だけど……」

「ちょちょ、桜庭さん??」


 しかし、あれから早一ヶ月が経とうとしている。
 理事長に報告後、以前よりも桜の警備は強化してもらった。手を出したくてもできないのかもしれないが、それにしても全くと言っていいほど何もなかったのだ。


「(となると、やっぱり文化祭で何か……)」


 文化祭の警備について考え込み過ぎていたせいか、葵は背後から忍び寄る影に気づかなかった。


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