すべてはあの花のために②

今日は、スイート王子から


 夏休みも終わり9月。今日は新学期最初の登校日。
 10月には体育祭、11月には文化祭と続いて行事があるため、生徒会は新学期早々大忙しだという。


「(でも今日は、スイート王子からみんなに伝えたいことがあるって言ってた。お家の方も落ち着いたかな?)」


 初めは葵も一緒に乗り込む気満々だったのだが、アキラとカエデがスッキリした顔になっていたので、あっさり二人に任せることに。
 そして昨日、その彼から連絡があったのだ。


〈HRが終わり次第生徒会室に来て欲しい〉


 先日のことが気になってしょうがなかった葵は、HR中ずっとそわそわしていた。
 だから、そんな葵を見たキクが警察に電話しようとしてたので、視線で必死に謝っておいた。


「(でも、一番そわそわしてるのはきっと――)」


 一体何個目になるのか、個包装の飴をバリボリ食べている彼だろう。
 HRが終わり、2年のSクラス組とキクは一緒に生徒会室へ向かった。すでに1年のSクラス組は終わっていたようで、生徒会室でゲームをしながら待っていた。

 全員が揃ったのを確認したアキラは、みんなをここへ集めた理由を話し出す。


「俺は甘いものが大好きです」

「……はい?」
「??」


 そ、それ言いたいがために呼んだの? 違うでしょ?
 もしかしてあなた、まだボケてんの?!


「あ、あきクン。いきなりどうしたのお?」
「(こくこく)」
「そんなこと知ってるよー」
「どうしたのよいきなり」
「ど、どうしたってんだよアキ」
「とうとう糖尿病になっちゃうのかしら秋蘭は」
「アキくんどうしたの。脳の中まで糖分だらけになったの」
「お前さん、やっぱ馬鹿にしてたんだな……」


「……盛り上がってるとこ申し訳ないんだが」
「違うわ!」
「(こくこく!)」

「? なんで怒ってるんだ?」
「……ぷっ。あははっ!」


 相変わらずなみんなに、アキラは首を傾げ葵は大爆笑。
 アキラはどうしようと葵に視線を向けてくるが、葵はにっこり笑うだけにしておいた。


「(大丈夫だよ。ちゃんと、みんな聞いてくれる)」


 ……そう、気持ちを込めて。

 アキラはゆっくり目蓋を閉じた。きっと言いたいことをまとめているんだろう――。


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