すべてはあの花のために③

side……


 待ち望んでいた連絡に、画面を確認しながら通話のボタンを押した。


「はあいもしも~し。連絡遅くないですかあ~? ……え。随分テンションが高いですねえ。何か嬉しいことでもあっ――……え?

 ええ、そうですね。初めはそれを条件にしていましたよ? でないと本気の彼女、見られなかったでしょう? ……そうですかそうですか。よかったですねえ。彼女をしっかり見られてー。……は? 後夜祭にも出たんですか? ああ、だから連絡が遅くなって……なるほど。……えっ。

 キス?! いや、どれだけ好きなんですか。……は? 彼女と賭もした? ……あなた、そんなに彼女に近づいていいんですかあ? ――――……え? まあそれならいいんですがあ。

 でも、いいんですか~? そんなに近づくと嫌われますよ? ……え。満更でもなさそうだった? 何勝手に暴走してるんですか! あなた、自分の立場わかってますう? ……はあ。頼みますよ、ホント。

 ……はあい。次も計画中ですう。その辺は抜かりありませんよ。任せてくださいな。……は~い。それではまた。今度はこちらから連絡させていただきますねえ~」


 電話を切り、パソコンの画面をじっと見つめる。にやりと口角が上がった。


「さてさて。お次は……っと」


 そこには、コンテストで優勝した葵の姿が映っていた。


< 162 / 347 >

この作品をシェア

pagetop