すべてはあの花のために③

side……


 カードが床に綺麗に並べられていく様子に、生徒会メンバーは戸惑いを隠せないでいた。


「お、おい親父! それだけはやめろ!」

「何言ってんの。このクソ女が何でもいいって言ったんだけど」

「いやいやだからって、あんたそれ負けたことないやろ……」


 しかし、カナデとマサキは顔を真っ青にしながら必死に止めようとする。


「なあクソ女。何でもいいんでしょ」

「え? はい。何でもどうぞバカ親父」


「バカ親父!?」とみんなが驚いているが、二人は真剣そのもの。


 二人はまず、数字とマークが見えるようにトランプを綺麗に並べた。
 そして一分間の記憶時間を設け、場所と数字を覚えていく。時間が経ったらカードを伏せ、神経衰弱の要領で数字のペアを作っていく単純なゲームだ。


「お、おいカナ。何でそんなに慌ててんだよ」


 みんなを代表して、チカゼがカナデとマサキにそう尋ねる。


「……親父は、途轍もなく記憶力がいいんだよ」

「せやから、もうさっきので紫苑さんは全部の場所を覚えてん。せやからどうせ紫苑さんは後攻でええって言って、先にお嬢ちゃんにやらすつもりやろうな」

「だから、アオイちゃんがその一回だけで半分以上のペアを組まないと。……アオイちゃんは。殺される」


 みんなは、そんなに大事に感じなかった。
 きっと、やってることが地味だからだろうけど。


「クソ女、殺される準備はできた?」

「バカ親父こそ。ちゃんと賭のことは覚えてんでしょうね」

「当たり前。でも勝つの俺だから。お前は制限時間が来ないうちに死ぬよ」

「あーはいはい。もう面倒くさいんで、さっさと始めましょうよ」


< 194 / 347 >

この作品をシェア

pagetop