すべてはあの花のために③
side……
カードが床に綺麗に並べられていく様子に、生徒会メンバーは戸惑いを隠せないでいた。
「お、おい親父! それだけはやめろ!」
「何言ってんの。このクソ女が何でもいいって言ったんだけど」
「いやいやだからって、あんたそれ負けたことないやろ……」
しかし、カナデとマサキは顔を真っ青にしながら必死に止めようとする。
「なあクソ女。何でもいいんでしょ」
「え? はい。何でもどうぞバカ親父」
「バカ親父!?」とみんなが驚いているが、二人は真剣そのもの。
二人はまず、数字とマークが見えるようにトランプを綺麗に並べた。
そして一分間の記憶時間を設け、場所と数字を覚えていく。時間が経ったらカードを伏せ、神経衰弱の要領で数字のペアを作っていく単純なゲームだ。
「お、おいカナ。何でそんなに慌ててんだよ」
みんなを代表して、チカゼがカナデとマサキにそう尋ねる。
「……親父は、途轍もなく記憶力がいいんだよ」
「せやから、もうさっきので紫苑さんは全部の場所を覚えてん。せやからどうせ紫苑さんは後攻でええって言って、先にお嬢ちゃんにやらすつもりやろうな」
「だから、アオイちゃんがその一回だけで半分以上のペアを組まないと。……アオイちゃんは。殺される」
みんなは、そんなに大事に感じなかった。
きっと、やってることが地味だからだろうけど。
「クソ女、殺される準備はできた?」
「バカ親父こそ。ちゃんと賭のことは覚えてんでしょうね」
「当たり前。でも勝つの俺だから。お前は制限時間が来ないうちに死ぬよ」
「あーはいはい。もう面倒くさいんで、さっさと始めましょうよ」