すべてはあの花のために③
襲わない自信がないぃ~
「それはそうとツバサくん。こんなところにいて大丈夫? 今は生徒会の当番じゃないから、今しかクラスの手伝いとか自由に動ける時間なくなっちゃうよ?」
「だから、もうクラスには戻らないわよ。また求婚されたらどうするのよ」
いやいや、言い寄られるって。そこまでいってたんですか。
「そ、それはきっと、ツバサくんよりも相手のダメージが大きいね」
「でしょう? 破壊光線並みだと思うわけよ。いや、もう一撃必殺でいいかしら」
「うん。技名はどうでもいいんだけどね? ……ほんとにいいの?」
「……アンタには言わないでおこうって決めてたんだけどね」
「え? 何が?」
葵がそう言うとツバサはソファーに背を預け、目線を外しながら。
「男子メンバーでアンタの傍についてることにしたのよ」
「ええ?! なんで⁉︎」
「文化祭が一番危ないでしょ。だから、アンタは今日ポイントに立っちゃダメ。生徒会室で軟禁する予定だから」
そう言うツバサに、葵は開いた口が塞がらない。
「文句は受け付けないわ。もうこれは決定事項だから」
有無を言わせず、ツバサが言い放つ。
「そ、か。うん。……ありがとね」
「あら。案外素直なのね」
「うん。みんなに何かあると思うと心配なんだけど、わたしがみんなのそばにいたいって言ったから。もし何かあれば、わたしがみんなのことを守るよ」
葵の力強い言葉に、ツバサは目を瞠る。
「……ッ、バカね。アタシたちが守るって言ってんだから、素直に甘えとけばいいのよ!」
「甘えてるよ? だからさっき言ったじゃん。ありがとうって」
葵がにっこりそう言うと、「ふんっ!」とツバサはそっぽを向いてしまった。
そうしていると、当番の時間になったのか、次の人が生徒会室に入ってきた。
「あ。次はヒナタくんなんだ! よろしくねー!」
「……何。ツバサ、もしかして言ったの」
「言わなかったとしても、この子はすぐ気づくわよ」
ツバサが立ちながらそう言うと、「確かに」とヒナタが呟いていた。
今からツバサはどうするのかと聞いたら、取り敢えずポイントに立つまではまだ時間があるみたいだったので『隠れるところを探す』と言っていた。葵はさらっと、そこで茶室を勧めておいた。
ツバサが出て行った後の生徒会室では……。
「何。ツバサなんかあったの」
「言い寄るって、どうやらプロポーズまでいってたらしくて」
「自業自得じゃん」
「わたしもそう思う。……それはそうとヒナタくん何する~?」
葵がそう言って、この間のトランプを持ってこようとしていたら。
「今日はいろいろ話そ?」
ヒナタは首を傾げながらそう言ってきた。
そういえば彼には襲われかけたんだっけか。気をつけよ。