すべてはあの花のために③
二十三章 感謝

あぽfじq3rb0素s!?!?


「……あれ。ここは……」


 葵が目を覚ますと、そこは見たこともない、立派な木造の家の天井だった。雑魚寝をするはずだったのに、どうやら葵は違う部屋で眠っていたようだ。


「えっと……」


 葵は順々に頭の中を整理していく。
 カナデの実家で、家族の誤解が解けて、お風呂をいただいて。


「シオンさんとマサキさんと話してる辺りから記憶が……」


 ここで葵は倒れたんだと思い出した。


「確か、二人に【あのこと】を言われてからだ」


 取り敢えず、二人がここまでしてくれたんだと思い、お礼を言いに行こうと起き上がる。


「あれ? 着てた着物、これだったけ?」


 不思議には思ったけれど、取り敢えず戸を開けて、葵は一人だった部屋から出た。
 廊下まで出ると、辺りはまだ薄暗くて。朝日がようやく、顔を覗かせようとしているような時間だった。


「……わたしはまた、冷たくなっていたんだろうな」


 みんなに心配を掛けたくはない。でも、それでも一緒にいたいと願ったのは『あおい自身』だ。
 そう思いながら廊下を歩いていると、朝早いのにどこからか音が聞こえてきた。


「ここから……か」


 音が漏れているところの戸を葵は少しだけ開けて、覗いてみることにした。


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