すべてはあの花のために③
金魚すくいは得意だから多分!
あれだけ言っても勝手に生徒会室から飛び出してしまったので、今度は残りの三人で見張られている葵である。
ちなみにツバサは仕事をほったらかしたからということになっていて、「根性叩き直してやる!」とキサに言われ、今は彼女のそばに付いているらしい。なんだか申し訳ない。
そして只今17時。文化祭は18時までなので、あと一時間をアキラとアカネと、チカゼと交代したカナデで葵を監視することになったようだ。
「お客さんいっぱい来た?」
「ああ、まあそれなりにはな」
「あおいチャンはー? 今までみんなと何してたのお~?」
「えー。そんな話すことのほどじゃないよ?」
「俺も知りたいっ!」
すごい勢いよくカナデにそう言われて驚いたが、後でお礼を忘れずに言っておこうと思った。
「ツバサくんとはこの仮装の話をして、ヒナタくんの時はトーマさんから電話が掛かってきて、オウリくんは泣かして、チカくんを怒らせた!」
「いや、どや顔で言われても……」
「つばさクン以外おかしいから!」
「最後ら辺、アオイちゃん最悪なことしかしてないじゃん」
だから、そう言われると思って話したくなかったんだってば。
「まあそんなことは置いておいてさ! 体育祭でもらった賞品あるじゃない? あれさ、今度みんなで一緒に使おうよ!」
「そういえばそんなのもあったな」
「あきクン、あの時すごい顔で理事長見てたもんね」
「アオイちゃん、それは……」
あ、そっか。彼とは外では一緒にいられないんだっけ。
「そっか。カナデくん使えないか」
「そういえば、賞品って何だったんだ」
「(あきクン、どれだけ嫌だったの)賞品は【いつでもどこでも好きなとこへ行っちゃえヨ旅行券】でしょ? どんだけお金持ってんだろうねえ」
「……みんなは、楽しんできてね」