すべてはあの花のために③
二十章 闇
side……
――――深夜。
ここはどこの部屋なのか。
真っ暗の部屋の中、机の上の光だけが当たりを照らす。
そこにいる黒い物陰がまた、手だけを動かして何かを読んでいる。
ペラ……ペラ……。
『…………(クスクス)』
静かな笑い声が聞こえたと思ったら、すーっと消えて無くなる……。
読み終えたらまた、机の引き出しにそれをしまった。
今日も影は何事もなかったかのように、静かに眠りについた。
愉しそうに、口元に弧を描きながら。