すべてはあの花のために④

sideトーマ


 彼女の背中が見えなくなってから、ぐっと指先をぐっと握り込み、トーマはリビングへと戻る。


「んで。お前らはどうするわけ」


 戻ると、さぞ当たり前かのように朝食にがっついているみんなの姿が。


「どうすっかな~……あ! アヤメさんおかわり!」

「はいは~い」


 実は動物たちの餌やりが一番大変かもしれないと思い始めていた母である。


「俺は、待っておくことも大事だと思う」

「アキくん。それオレが言ったやつ……」

「でも、確かにそうよね。アタシも別に、お寺まで付いて行く必要はないと思うし」

「うん! みんなでアオイちゃんを見守ろう!」

「お前ら、ここまで来ておいてよく言うわ」

「でもでも! あおいチャンの元気な姿見て安心したよ! ね?」

「(こくこく!)」

「じゃあ、あたし四国観光できなかったから、このチケット使って今日明日遊びまくろう!」


 みんなで「おー!」とか言ってるけど。


「(え。ちょっと待って。なんで最終日の明明後日が入ってないん……?)」


 不安でしょうがないトーマはその後、みんなが決めた観光場所の案内人に勝手に任命。どうやら今日、彼らと一緒に遊ぶらしい。


「(ま、俺もこいつらと会えるのは夏以来だし。楽しみっちゃ楽しみだけどな)」


 他にも回ろうと、楽しそうに行き先を決めていく彼らだったが。はてさて、今日明日しか時間がないのに、一体どこを回るつもりなんだか。


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