すべてはあの花のために④
二十八章 暗

苛つく影




 ――――真夜中。

 真っ暗の部屋の中、窓から入るぼやけた月の光だけが、そこを照らす。


 ペラ……。ペラ……。


『………………っ』


 読んでいる黒い影は、何だから苛ついているようで。

 読んでいたものを投げ捨て、ふて腐れたように眠りについた。



 その()を、()()()に染めて――……。




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