すべてはあの花のために④

side……


 二人を見送った三人。


「……あおいちゃん。大丈夫かしら」

「俺らは見守ってあげることしかできないから」

「……ワシは、あの子なら大丈夫じゃって信じとる」


 社務所の方へ、三人は歩いて行く。


「にしても、やっぱり気が引けたね」

「そうね。でも、あたしたちに拒否権はないわ」

「アオイさんの叫びは、聞くに堪えられんかった」


 三人が視線を落としていたのは、葵に渡した懐中電灯。


「あおいちゃんが気がつかなくてよかったけど……」


 ツバキは懐中電灯につけていたストラップを取る。


「……ちゃんと、録音はしてあるんだろう?」

「ええ。ストラップのマイクで音を拾って、ちゃんとあたしのボイスレコーダーで録音してる」

「アオイさんには、申し訳ないがのう……」

「しょうがないさ。どうせ俺らも、あの人の駒なんだから」

「それにしたって、もうちょっとやり方ってものが……っ」

「ツバキさん。ワシらには、どうすることもできんのじゃよ」


 悔しそうに俯くツバキを、イブキとカツラが慰める。


「――あとは、アオイさんを信じよう」


 カツラの言葉にイブキは大きく頷き、ツバキも目に涙を溜めながら頷いた。


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