すべてはあの花のために④
sideシント
「……さて。どこにいるか、だけど……」
葵が眠りについたのを確認すると、屋敷に用意してもらっている部屋へ向かう。
幼馴染みのキサでさえ、どこにいるのかわからないとなると……。
「きっと、思いつく場所には行ってるんだろうし」
でも今、彼は独りになりたいはず。
「……さてさて。腕が鳴りますねえ」
シントは何台もあるパソコンの前に座り、目にもとまらぬ早さで何かを打ち込んでいく。
「……ふう。ま、候補は絞れたか」
あとは何とかなるだろうと、大きく伸びをして時計を見る。
「……もうすぐ4時か。多分風呂入るかな。着替え用意しといてやらないと」
シントは、葵の部屋へとゆっくり向かったのだった。