すべてはあの花のために④
挿話 奇妙な本
それはある花のお話
むかしむかし
あるところに
とってもきれいな蕾が
ありました
しかし
その花は
お日さまの下では咲きません
真夜中の
お月さまの下
ある少しの間だけ
咲くことができました
そんな花を育てていた主は
もっと長い時間咲けないのかい?
その花がひらいたときに
聞きました
その花は答えます
わたしが大きくなるにつれて
花がひらく時間は長くなるでしょう
主は頷きます
そうか
だったらぼくが
しっかり育ててあげるからね
花は言いました
それか
お日さまを変えてくれたら
わたしはずっと咲くことができるでしょう
花がひらいたその時は
あなたのために
尽くしましょう
もうひとつの方は
よくわかりませんでした
それから再び花びらをとじてしまった蕾を
主は大事に大事に
育てました
すると
どうでしょう
その蕾は
とってもきれいな花をひらき
主もとっても喜びましたとさ
めでたし
めでたし