すべてはあの花のために④
二十五章 サクラソウ
息も整えないままに、引き出しの中に手を突っ込む。
【DIARY】と書かれたそれを引っ張り出して、慌ててページを捲った。
目的の場所を見つけては、それを躊躇なく破り取る。
必要なものを集め終え、一つ安堵の息を吐く。
けれど休む間もなく次の作業に取り掛かる。
破り取ったものはそれを一つとしてまとめ、もう一つ引き出しから便箋を取り出した。
「(……だいじょうぶ)」
僅かに軋みそうな胸を一度押さえて、そっとペンを執る。
「(……聞いて欲しいことがあるんだ)」
どうかもう一度。
勇気を下さい。