すべてはあの花のために④
三十一章 漸進
学校には行ってください
あのあと葵は、少し寄り道をしながら学校へと向かっていた。
「(ツンデレ猫さんが、甘々から一気に攻め攻めになってしまった……)」
先が思いやられた葵は、内心で頭を抱える。
「(やっぱり、チカくんにはバレてたか)」
それは、葵がただ彼を助けるために、力を振るっていた時のこと。
「(……みんなのことは、これ以上巻き込みたくない)」
こんな、残酷な運命に。
大好きな彼らを、巻き込みたくなんてなかったのに。
「(……でも、まだそうとは限らない。わたしは、今のわたしができ得ることをやっていこう)」
まだ朝が早く、登校するには早い時間。
朝日を見上げた葵は、ふと思い立つ。
「(あそこに、行ってみようかな)」
寺の山奥にあった、町全体が見渡せるような場所で、葵がオウリを助けたあと、キーンと駆けて行った場所。
「(あそこは、……あの子と出会った場所だから)」
そういえばあれ以来行っていなかったと、葵は登校ギリギリになりそうなのを覚悟で寄ってみることにした。