すべてはあの花のために④
毛皮のおかげ
「ちょっと、会議する前にオレからみんなに報告がある」
生徒会室にみんなが集まると、チカゼが今回のことを話し始めた。
祖母が入院し、取り乱したこと。逃げ出してしまったこと。寂しい気持ちとはもう、ちゃんと向き合えたこと。自分の両親は、自分を庇っていたこと。決して、見放したわけじゃなかったこと。
「だから、オレのこと。ずっと見ててくれて、ありがとう」
ちょっと気恥ずかしそうな彼に、みんなは本当によかったと相好を崩した。
「それとだな」
「ちっ、ちかくん?」
何故かチカゼが葵の手を取り、立ち上がらせたあと、自分の方へと腰を引き寄せる。
「オレも本気なんでよろしく」
生徒会室にはみんなの大絶叫が響く。みんなの前で宣言する彼はもう、ツンでもデレでもなくて。
両耳を塞ぎながら「やっぱりあっちゃんに言ったのね」と、キサだけは本当の弟を見守るようなやさしい表情で微笑んでいた。
「お前も、ちゃんと覚悟しておけよ」
「全力で阻止させてもらう!」
「ああ? もう一回すんぞ」
「どういうことだよ!」と再び大絶叫。「あっちゃんに何したんだ……」とキサも呆れて、結論から言うと会議どころではなくなった。