すべてはあの花のために④
それは、ある花の運命



 ある若すぎる夫婦の間に、少女は産まれました。

 母親の歳も若く、予定日よりも早くに生まれ、体が小さかった少女はしばらく保育器の中で育ちます。けれどすぐに状態も安定し、元気になった少女は、すぐにその両親の元へと戻り育てられました。



 ふと疑問に思った一人の男は、語り部であるその少女に問いました。

 何故、赤ん坊の頃の、産まれてすぐのことを知っているのか、と。



 少女は答えます。

 決して、両親から話を聞いたわけではありません。
 わたしが『異常な赤ん坊だったから』です。


 ふっと、やさしい笑みを浮かべながら。




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