すべてはあの花のために④
sideシント
「……わかった。どうして葵がそんなこと言ったのか」
翌日朝。一体どれだけ舐めたのか、半日以上眠り続けたシントが目覚めたのは、翌日の朝9時である。
「何これ。全くベッドから出られないんだけど」
百倍返しと言わんばかりに、シントはベッドに縄でぐるぐるに縛り付けられていました。
「しかも何。どうしてこんなに体が怠くなっ……絶対あれじゃん。何入れたの葵」
付けっぱなしになっているアロマに、ため息を落とす。
「だから葵はあの時……」
『だってわたし、ベッド入ったらシントのこと出すつもりないもん。それにシントも、きっと体が怠くなってると思うし』
「とか言ったわけね。やっぱりなんかあったじゃんかー。……でも、なんで葵は眠くなってないの? お茶にも入れてたはずなのに」
それが自分のせいだとは、きっと一生気付かないシントである▼
「いや、こんなこと冷静に考えてる場合じゃなかった。何考えてんのあいつ。俺に内緒で。しかもベッドから出さないようにするとか、絶対後ろめたいことあるやつじゃん……!」
シントは何とか脱出しようと試みた▼
「……うっわ。全然力入んないんだけどこれ。だっる~……」
早々に諦めた▼
「……今度、葵襲う時使ってみようかな」
やったら百倍以上にやり返されることを、未だ学習しない執事であった▼