すべてはあの花のために④

sideシント


「……わかった。どうして葵がそんなこと言ったのか」


 翌日朝。一体どれだけ舐めたのか、半日以上眠り続けたシントが目覚めたのは、翌日の朝9時である。


「何これ。全くベッドから出られない(、、、、、)んだけど」


 百倍返しと言わんばかりに、シントはベッドに縄でぐるぐるに縛り付けられていました。


「しかも何。どうしてこんなに体が怠くなっ……絶対あれじゃん。何入れたの葵」


 付けっぱなしになっているアロマに、ため息を落とす。


「だから葵はあの時……」

『だってわたし、ベッド入ったらシントのこと出すつもりないもん。それにシントも、きっと体が怠くなってると思うし』

「とか言ったわけね。やっぱりなんかあったじゃんかー。……でも、なんで葵は眠くなってないの? お茶にも入れてたはずなのに」


 それが自分のせいだとは、きっと一生気付かないシントである▼


「いや、こんなこと冷静に考えてる場合じゃなかった。何考えてんのあいつ。俺に内緒で。しかもベッドから出さないようにするとか、絶対後ろめたいことあるやつじゃん……!」


 シントは何とか脱出しようと試みた▼


「……うっわ。全然力入んないんだけどこれ。だっる~……」


 早々に諦めた▼


「……今度、葵襲う時使ってみようかな」


 やったら百倍以上にやり返されることを、未だ学習しない執事であった▼


< 80 / 267 >

この作品をシェア

pagetop