すべてはあの花のために⑤
ある花、不幸を呼ぶ

 ある日、こどものところへ知らない人がやってきました。
 その人は笑顔がとても素敵で、こどももつられて笑いました。


 その人はこどもにある紙を見せながら質問をしました。
 こどもは素直に、質問に対して自分が思ったことを答えました。

 そうすると、その人は嬉しそうに笑って、こどもの頭を撫でてくれました。



 その人は、遊びに来る度にこどものところへ行って、たくさんお話ししたり、紙を見せながら質問をしました。

 こどもは、その人が話すことは知らないことばかりだったので、その人と話すのがとても楽しみでした。

 いつも質問には素直に答えて、その人の笑顔を見るのが楽しみでした。



 それからしばらくして、男性はこどもにもっと強くなれと言ってきました。
 女性も、今まで以上にいろんな感情や生、世の中の理について教えてくれました。


 どうやら、消えたと思っていたこどもの暗い感情が、時々こどもの知らないところで出ていたようでした。


 こどもも、頑張って二人に教えてもらうことを吸収していきました。



 そしてとうとう、たくさんの愛情を注いで育ててきた花が咲きそうでした。
 でも、この時こどもにとって嫌なことが起こったのです。


 こどもは再び暴れ出しました。
 暴れた時、咲きそうだった花を思いっきり摘み取りました。


 たくさんの愛情を注いだ花を、枯らしてしまいました。
 そして、大好きな二人が自分のせいで不幸になるのを恐れました。



 それからこどもは上手く笑えなくなり、暴れることも増えていってしまいました。


< 113 / 263 >

この作品をシェア

pagetop