すべてはあの花のために⑤
三十七章 運命

突っ込む方だって大変なんだよ?


 週末明けの放課後。修学旅行から帰ってきた時には、12月へと月が変わっていた。


「じゃあクリスマスパーティーに向けて、企画を詰めて準備を進めていこう」

「いろいろと考えなくちゃいけないことはあるから、まずは時間をはっきりさせましょ」

「きっと当日も準備するから、わたし夜遅く開始でもいいんじゃないかと思うんだけど」

「たとえば?」

「んー20時とか?」

「遅くなるよ帰りが」

「そっか……」


 ヒナタの真っ当な指摘に葵が腕を組んで悩んでいると、キサが「だったら手伝ってもらえばいいんじゃない?」と提案する。


「ん? 誰に?」

「参加する生徒のみんなに!」

「成る程。企画の内容がバレない程度に、わたしたちからみんなに頼んじゃえばいいのか」

「だったら、ツリーの飾り付けが減るだけでも時間が早められるよお!」

「確かに。参加者のためにも早く始めてやらねえと」

「でもあーちゃん、飾り付けに生花入れるんでしょ? それは生徒一人一人が持ってくる?」

「それはこっちで準備しておくよ。来た人から順にツリーに飾ってもらうようにしておけば」


 みんなで親指をぐっと立てた後も、着々と詳細は決まっていった。
 クリスマスパーティーの開始時間は結局18時からに決定。ツリーの搬入や飾り付け等は、業者に頼むことに。文化祭同様楽団の生演奏に、ビュッフェスタイルの食事の提供。体育館の壁側に、各国のクリスマス料理やデザートを準備しておく。


「ねえアオイちゃん。くす玉って、各クラス分だから全部で9個いるんだよねー?」

「うん。一応クラス人数分のプレゼントも用意しておくよ」


 メキシコのクリスマスでは、くす玉のようなものの中にお菓子やプレゼントを入れておいて、子どもが目隠しをしてそれを叩き割るイベントがある。
 それを、パーティーが始まったら生徒のみんなに叩き割ってもらうのだ。これは生徒会から参加者みんなへのクリスマスプレゼント。


 それとは別に、生徒一人一人にはプレゼントを持参してもらうことになっている。
 体育館の入り口にクリスマスカードを配置し、そのカードと同じ色と柄のカードを持ってる人にプレゼントを渡してもらうのだ。そして、そのペアと一緒に、ダンスを踊ってもらうという算段になっている。必ずしもではないので、男同士女同士の場合は臨機応変にしてもらえればそれで十分。

 事前に、参加者を各クラスの委員長に把握していてもらうので、カードの過不足なく対応できるだろう。何かあれば、先生たちにも協力してもらい、カード引いてもらって調整することに。


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