すべてはあの花のために⑤

このばかちんがあ!


 あれから、やっぱりどこかアキラとは気まずかったけれど、仕事の話でも話しかけたらどこかほっとしたような、そんな顔をしていた。そんな彼の様子に、本当に申し訳ないと思いながら、葵たちは当日に向けて仕事を進めた。


 そして、あれからは特に何もなく順調に準備は進み、パーティー前日。今日の内容且つ目標は、楽団員と業者へ当日説明と、くす玉まで飾り付けること。

 只今時刻は17時半過ぎ。授業が終わり次第、生徒会メンバーは体育館へと集合した。
 カナデは殆どが電話でのやりとりで済んでいるようで、ざっと確認が終わり次第飾り付けに来るとのこと。その他のメンバーは、オウリとアカネ、チカゼとヒナタの指示の元、業者とともにツリーや壁の装飾、くす玉の準備へと取り掛かる。


「おっきいっ!?!?」

「でしょでしょお~」」


「ええ!? すごい綺麗! 可愛い!」

「だろ?」

「当然」


 今日明日の動きを、二組ともがきちんとプリントにしていてくれたので、とてもわかりやすくスムーズに段取り確認することができた。
 それからすぐに業者の手により、天井を突き抜けそうなほど大きなツリーが体育館中央へと運ばれていく。


「(確かに全校生徒が参加するけれども、流石にこんなに大きなツリーは……というか、どこから持ってきたのよ)」


 見上げてみるが、てっぺんは見えなかった。でも、そんなツリーが入ってしまう体育館の大きさにも驚いた。


 それからくす玉。ひとクラス分のプレゼントの中身は全て統一したそう。くす玉を吊り下げた台座を9カ所設置し、どれを割るのかは各クラスで決めてもらうという。


「(でも、どれか一つは、理事長が決めたって言ってたっけ)」


 間違いなくそれがハズレだ。気をつけて選ぶだろう。選ぶ前にそう伝える予定だから。


 ツリーへの飾り付けは、安全面を考慮しネットを張ってから行っている。また当日も、ツリーから飾り付けが落ちる可能性も考え、ネットだけでなくツリーの周りを立ち入り禁止にし、ロープを張る予定だ。


 オウリとアカネは、ツバサとアキラを連れツリーの下の方と、壁一体の装飾を業者の人と共にしていた。チカゼとヒナタも、下でくす玉を吊り下げる場所の指示をしている。質問があった時など、すぐに対応できるよう、彼らは下で待機していた。


「キサちゃーん、そっちはどうですかー?」

「うん! なかなかいい感じだと思うよー」


 というのは建前で、ただめちゃくちゃ高いところから飾り付けをするのを嫌がっただけなのですが。
 葵とキサは平気な顔をして、真っ先にツリーのてっぺんに大きな星を、業者と一緒に取り付けていた。なんだかんだでカード作りが昨日終わった葵も、無事にこちらをしっかり手伝うことができていた。


「(今思う。凝ったのにしなけりゃよかったって)」


 そうは言うものの、やっていて楽しかったのは否めないけれど。


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