すべてはあの花のために⑤
メリークリスマス!
午前中に終業式が終わり、キクのだらだらHRもさらっと終わったので、昼食を食べ次第葵たちは準備のため体育館へと向かうことに。今は昼食をかき込みながら、生徒会室で現状確認中。
「現状報告。まずは桜李」
「ツリーへの飾り付けはもうちょっとってところかな!」
「次、茜」
「壁の装飾も、まだ全部はできてません!」
書記のキサが、それを書き残していく。
「わかった。次、千風と日向」
「くす玉の方はまだ2、3個しか設置できてねえ」
「最初は手こずったけど、要領は昨日のうちで得たから今日はすぐできると思う」
あんなことがあったせいで、途中だったものを一個降ろしていた。なければ今日の負担はまだ少なかったかもしれないが、今は後悔をしても仕方がない。
「次、圭撫。楽団との打ち合わせは」
「そっちはもう大丈夫かなー。ほぼ後夜祭と変わらないし、寧ろクリスマスにデート誘われて、断る方が大変でしたー」
「次、翼と紀紗。生花はどうだ?」
カナデはどうやら突っ込み待ちだったみたいで、アキラに華麗にスルーされて少しいじけていた。
「花屋さんには茎をある程度切ってもらえることになったよー!」
「届けてくれるのは15時を予定してるわ」
「わかった。作業しながら見回りもすることになるが、よろしく頼む。また変な奴がいたら困るからな」
アキラの言葉に、みんなが大きく頷く。
「(そういえば、ここのところ見回りに行ってない。でもそれは最近落ち着いてたからで……あれ。落ち着いたのはいつ……?)」
「あっちゃん?」
「……! あ、ご、ごめん。何?」
すっかり自分の世界に入り浸っていたようだ。考えすぎるのは悪い癖だというのに、どうしても気になったらモヤモヤが止まらなかった。
「葵、カードの準備はできてるんだったな」
「うん。みんなが入ってくる前に、カードの入ったボックスを見ておきたいから、わたしは表に立っておきたいんだけど……大丈夫かな?」
「それは構わない。何かあれば連絡してくれ」
「うん! ありがとう!」