すべてはあの花のために⑤
それは素敵な物語


 ねえ あなたはしってる?

 こんな素敵な物語

 ひとつの花のお話を







 花はいっつもひとりぼっち

 ずっと ずっと ひとりぼっち







 その花は進むの 決まった道を

 ただひたすらに その道を

 たった一人で進んでいくの







 でもね いろんな花が音を奏でるの

 今日もきれいね とてもいい香りね

 でも花は何も思わないの







 代わりに言葉を奏でるわ

 わたしに近寄っちゃだめなのよ







 だって わたしは汚れてる

 みんなを汚したくないんだもの







 もう真っ黒で 小さくなって

 残ったものはとっても少なくても

 花はきちんと進んでいくよ







 冷たくて 真っ暗で 何も見えない場所に

 どんどん進むよ 行けるとこまで

 時々花は振り返るの







 わたしとお話ししてくれて

 わたしのことを見てくれて

 わたしのことを愛してくれて







 本当に ありがとう







 そんなことを思いながら

 花はどんどん黒くなる

 汚くなる 小さくなって

 最後は笑って消えるのよ







 だって花はたくさんの花が幸せで

 とっても嬉しいのだから






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