すべてはあの花のために⑤
それは、ある花たちの決意



『――――い! ねえ! ねえってば!』



 俺には、ぽっかりと空いた大きな穴がある。
 ずっと埋められないままでいる、大きな穴が。



『あ? なんだよ』

『まさか、忘れたとか言わないよね!』

『は?』

『絶対! 絶対なんだからね!』

『…………』

『聞・い・て・る・の?!』





「……ああ。聞いてる。ちゃんと、覚えてるよ」



 覚えてなかったらそもそも、……こんな恰好してねえっつの。



「……誰にも、忘れられて堪るかよ」



 それが、たとえ誰であろうとも。
 そしてそれを、……――望んでいようとも。




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