すべてはあの花のために⑤
三十二章 修学旅行 1日目

なんだか嫌な予感がする


 11月下旬。
 なんだかんだとしているうちに、一気に寒くなった。特にこの一ヶ月は、本当にバタバタしたなと思う。

 上旬には文化祭があった。
 葵にとっても、みんなにとっても。きっと一生忘れられない文化祭だっただろう。


 カナデの家族の問題がそのあと立て続けに起こり、元カノと先生にも、きちんと会うことができた。

 そのあとはオウリ。彼の心の氷はとても冷たいものだったけど、彼が強くなろうとしたことでそれはあっという間に溶け、彼は声を取り戻すことができた。

 最後はチカゼ。彼の場合、寂しい気持ちを受け入れることが難しかった。それでも彼も、自分で強くなった。とても今は誇らしい。



 ま、途中で修行に出たけどね。
 葵も、自分の弱さをあの山に置いてきた。自分が弱いせいで、みんなには迷惑を掛けられない。

 これからはもう泣かないと。これからはずっと笑うんだと。
 葵は、そう自分に言い聞かせ、少しだけスッキリした面持ちで、修行を終えたのだった。



 そして今は飛行機の中。
 葵たち2年生は、今日から修学旅行。またしばらくバタバタしそうな予感である。


「あっちゃん。お菓子どーぞ」

「ありがとう。キサちゃん」

「紀紗、俺にも」

「アオイちゃーん! 一緒にポッキーゲームしよ~」

「つばさクンすごいよ! 雲の上飛んでる!」

「茜。ちょっと落ち着いてくれるかしら……」


 修学先は沖縄。
 只今飛行機でそちらへと向かっているのですが。


「はいダウトー」

「はあ?! なんでわかったんだよっ!」

「ちーちゃんわかりやすすぎ」


 何故だろう。
 ここに1年生が混じっていました。


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