すべてはあの花のために⑤
三十三章 修学旅行 2日目

勝負はわたしの勝ちだけど?


「おはよう葵。朝食は何にする?」

「え? ……ぱ、パンにしようかな?」

「アオイちゃんアオイちゃん! ここのスープ! いろいろあるけどどれが好き?」

「え? えーっと。こ、コーンポタージュかな?」

「アンタ、もっとしっかり食べなさいよ。栄養価の高いものと、あとこれ。お肌にいいから」

「え? つ、ツバサくん。朝から豚足?」


 そして2日目の朝。何故か席を立たなくても、勝手にみんなが給仕をしてくれた。
(※ちなみにホテルの食事は全てバイキングとなっております)


「あーちゃんおっはよ~! 昨日はありがとおー」

「オウリくん! ちゃんと剥がれた?」

「時間かかっちゃったけどね~」

「いつ全部取り終わったの?」

「? 1時だったかな?」

「それはそれは……」


 本当に、ウサギさんを捕まえるつもりは最初からなかったんですよ。捕まえたかったのは、ワンコと見せかけたオオカミさんなんですう……。


「くあ~。はよ~……」

「あ、チカくん。眠そうだね?」

「昨日寝たの2時近かったからな。なのに起きられたことにオレは驚いている」

「そ、そうですか」


 きっととりもちのせいだろうな。
 大丈夫だ、もう仕掛けない。まだあるけど。


「おはよ~あっちゃん」

「おはよ」

「あ! キサちゃんヒナタくん、おはよう!」


 挨拶を交わしてすぐ、二人は仲良く自分たちのご飯を取りに行く。


「(いいなー仲良しさんでー)」


 羨ましい半分、寂しい半分な葵である。


「(でもキク先生は大丈夫なのかな? 普通こういうのって、ヤキモチとか妬くものじゃないのかな? みんなだから黙認してる感じ?)」


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