すべてはあの花のために⑤

教えてくださいペンダントさん!


 それから葵たちは、沖縄そばやタコライスなどの軽食を食べて植物園へと向かったのだが。


「(あぁああ~……! またやってしまったっ!)」


 葵は猛反省中でした。


「(こういう時こそこのペンダントに頼ればいいでしょうにっ! 何やってんだわたしはーッ!)」


 葵の意味深な発言で、完全にみんなの空気はどんより。


「(え。どうしよ。本気でどうしよう。この状況への対処法を教えてくださいペンダントさん!)」


『ま、無理ですよね~……』と思いながら顔を上げると、ある看板が目に留まる。


【押し花でいろんな作品を作ってみませんか?】

 お花を潰してしまうのには少し抵抗があるけど、これも花を長持ちさせられる方法の一つである。


「み、みんなっ! あれやってみたいっ!」

「よし! 行こう!!」


 葵のせいで暗くなっているみんなも、結局のところ、葵のおかげで元気にもなれたりするわけで。


「……やれやれ」


 そんな彼らにも振り回されてるキサが、一番の苦労者かもしれない。



 作業の流れは大体こんな感じです。

 ①それぞれ何が作りたいのかを選ぶ
 ②花を選ぶ
 ③押し花を作る
 ④作品を作っていく

 それぞれ何を作るか決まったら、花を選んで作品作りに取り組んだ。葵は透明のスマホケースにデコレーションしていくことに。


「まずは好きなお花を選んでみましょうか」

「あの、葉っぱとか入れても大丈夫ですか?」

「もちろん大丈夫ですよー」


 葵は、選んだ花と葉っぱたちを押し花にしていく。
 どうやらアイロンやレンジなどでも簡単にできるよう。本で押さえるやり方しか知らなかったからびっくりだ。

 乾燥できたら、スマホケースに並べていく。


「花や葉っぱ以外に、スワロフスキーなんかもちりばめると可愛くできますよ」

「おお! なるほど!」


 いろいろ並べてみて、大体の配置が決定。


「では、配置が決まったら、まずはケースに液を塗りましょう」

「(ぬりぬり……)」

「次に、配置通りに並べましょう」

「(ぺたぺた……)」

「それで一度乾かしますね。UVランプに数十秒当てます」

「(じー……)」

「それでは次に、この上からまた液を塗っていきます。塗ると言うよりは盛っていく感じですね。たっぷり掛けてあげてください」

「(たらたら……)」

「気泡が入ってしまわないように気をつけて、ゆっくり盛ってあげてくださいね」

「(もりもり……)」

「最後にもう一度UVランプを当てて、完成です」

「え! もうですか?」


 あっという間に完成!
 しかも想像以上に可愛く出来た!


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