すべてはあの花のために⑤
三十四章 修学旅行 3日目

し、死んでお詫びをおぉおぉぉ~


 葵は、気がついたらベッドで眠っていた。


「……あれ? 記憶が全然ないんだけど……」


 昨日は、みんなとバスで帰ってきて、ホテルで晩ご飯を食べて、お風呂入って……?


「あれ。ちゃんと入ったと思うんだけど……」


 浴衣には着替えてあったので、間違いはないと思う。


「えーっと……そう! みんなでヒナタくんの部屋に行ったんだ」


 順繰り昨日の夜のことを思い出す。
 それで、みんなでゲームしようとなり、トランプで遊んでいた。


「それでわたしが、じじ抜きで負けちゃったから罰ゲームをしたんだけど……」


 ダメだ、これ以上思い出せない。


「そもそも罰ゲームって何だったっけ。何かを、飲んだんだっけ?」


 まあ朝ご飯の時、みんなに会ってから聞いてみようと、葵は支度をして部屋を出る。今日は首里城を見学して工芸体験をした後、お菓子工場の見学とお土産の購入。


「最後に岬で綺麗な夕日を写真に収めて帰るぞー!」


 撮った写真を、トーマに送って評価してもらおうと思っていたら、みんながもう集まっていた。


「おっはよおおお――ッ!?」


「……ほ。おはよ、アオイちゃん」

「だ、大丈夫? あおいチャン」

「あ、葵……」

「はあ。……オレが悪かった」

「アンタって……」

「…………(殺)」

「あーちゃん……」

「あっちゃん……」


 だあー! いっぱいありすぎてわからーん!
 取り敢えず、いろんな視線と言葉付きで朝から気分はよくありません!


「な、何なんだみんなして!」

「はあああ……」


 流石は皆さん、付き合いが長いのでシンクロ率100%の大きなため息ですこと……って、そうじゃなくて!

 さっきから何?!
 変な目で見られたと思ったら、今度は呆れられたんですけど!


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