すべてはあの花のために⑤

まさかのパンチパーマ?!


 お菓子工場では、言わずもがな彼が暴走しました。後処理が大変でした。いい加減にしてくれと、本気で怒鳴りました。

 工場に着くや否や、いい香りがするのかアキラのお菓子センサーが反応。工場では製造工程に釘付け。そこまで興味があるならと、アキラに体験をさせてくれたのだが、それが工場の人よりも上手かったり。しかもしかも、工場の人たちに駄目出しまでする始末。

 謝った。とにかくみんなで謝ったが、当の本人はお菓子の買い物をしていて、すごくほくほくした顔だった。


 そんなアキラに、みんなはどっと疲れました。

 アキラに「どうしたんだみんな。疲れたのか? 疲れた時は甘いものがいいぞ」と言われて、今回ばかりはみんなで「尊敬していたとしてもっ!」とチカゼも言いながら、アキラにいろんな技を掛けた。


 ちなみに葵は、本気で鼻フック一本背負いをしてあげました。ヒナタが動画を撮っていたので、手を洗ってからもらいに行こうと思います。



 葵たちは沖縄土産を買ったあと、灯台がある岬へとやってきていた。


「おっきいね!」

「ほんとだね~」


 葵はオウリと並んで灯台を見上げていた。


「ちょっと調べたんだけど」

「ん? なになに~?」

「この灯台、カップルで見上げると別れるらしいよ」

「ええ……!」


 オウリはピシリと固まった▼
 つんつんとオウリのほっぺを突いてみるけど、一向に動かない。


「お~い? オウリくーん」

「…………」

「えっと。カップルが、だからね?」

「……え?」

「カップルじゃないんだからさ? わたしはオウリくんと一緒に見たいんだけどなー?」

「…………みる」


 ぎゅうと抱きついてきたオウリだけど、みんなに剥がされてあっという間に一番遠いところへ。


「白くて大きくて綺麗とか、まるでツバサくんみたいだ」

「ここまでズドーンとしてないわよ」


 そう呟いたら、入れ替わりにツバサがやってくる。


「そっか! ツバサくん、足はスラリとしてて長いし、足だけじゃなくて手もまるで白魚のようだし! ……ほんと、なんで女じゃないのかねえ」

「え。女がよかったの? 結局どっちなのよ」

「ほんとに交換して欲しいっ! この大根のような足と!」

「無理言わないで」


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