身代わり聖女になったら、なぜか王太子に溺愛されてます!?
聖女の真相へ
「聖女様っ、どうなさいましたかっ?」
「あっ、ビクターさんっ。殿下が……、カイゼル殿下が急にお倒れになって……」
壁にもたれかかり、苦しそうに肩を揺らして息を吸うカイゼルを見るなり、ビクターは蒼白になって駆けつけてきた。
「すぐに部屋へお運びします。聖女様はご自身の部屋へお戻りください」
「しかし……、殿下は熱があるので、還炎熱かもしれません……」
「熱……ですか」
ビクターはほおを引きつらせるとカイゼルの肩に触れ、グゥとうめく。しかし、すぐにカイゼルの腕を背中に回すように担ぎ、立ち上がる。
ぐったりとしたカイゼルの意識はもうろうとしていた。ビクターが一歩あゆむと、引きずられて一歩進む。立っているのもようやくのようだった。
「殿下のお部屋は?」
「この先にあります」
「私もついていっていいですか?」
「聖女様がおられれば心強くはありますが……」
そう言うが、ビクターは目を泳がせる。彼も知っているのだろう。エリシアが聖女ではなく、グスタフ男爵の娘でしかないことを。
「エリシアとお呼びください。私はこれでも、還炎熱の患者をたくさん見てきました。熱を発症した直後が、一番身近な方に伝播する病です。一晩……いえ、二晩ご様子を見れば、還炎熱であるかどうかはわかります」
「二晩はエリシアさんが殿下を看ると?」
「その方が安心なはずです。宮殿で還炎熱が広がることは避けたいはずです」
ビクターは思案げに黙り込み、ほどなくしてうなずく。
「……確かにそうです。幸い、これまではルイ殿下とルイ殿下付きのメイドが数人かかるにとどまっており、宮殿内のほとんどのメイドたちは還炎熱を知らず、必要以上に恐れています」
「還炎熱かどうかわかるまでは、私に看させてください」
「わかりました。陛下への許諾は俺が。まずは殿下を運びましょう」
ビクターは覚悟を決めると、カイゼルを抱えて部屋まで急いだ。
「あっ、ビクターさんっ。殿下が……、カイゼル殿下が急にお倒れになって……」
壁にもたれかかり、苦しそうに肩を揺らして息を吸うカイゼルを見るなり、ビクターは蒼白になって駆けつけてきた。
「すぐに部屋へお運びします。聖女様はご自身の部屋へお戻りください」
「しかし……、殿下は熱があるので、還炎熱かもしれません……」
「熱……ですか」
ビクターはほおを引きつらせるとカイゼルの肩に触れ、グゥとうめく。しかし、すぐにカイゼルの腕を背中に回すように担ぎ、立ち上がる。
ぐったりとしたカイゼルの意識はもうろうとしていた。ビクターが一歩あゆむと、引きずられて一歩進む。立っているのもようやくのようだった。
「殿下のお部屋は?」
「この先にあります」
「私もついていっていいですか?」
「聖女様がおられれば心強くはありますが……」
そう言うが、ビクターは目を泳がせる。彼も知っているのだろう。エリシアが聖女ではなく、グスタフ男爵の娘でしかないことを。
「エリシアとお呼びください。私はこれでも、還炎熱の患者をたくさん見てきました。熱を発症した直後が、一番身近な方に伝播する病です。一晩……いえ、二晩ご様子を見れば、還炎熱であるかどうかはわかります」
「二晩はエリシアさんが殿下を看ると?」
「その方が安心なはずです。宮殿で還炎熱が広がることは避けたいはずです」
ビクターは思案げに黙り込み、ほどなくしてうなずく。
「……確かにそうです。幸い、これまではルイ殿下とルイ殿下付きのメイドが数人かかるにとどまっており、宮殿内のほとんどのメイドたちは還炎熱を知らず、必要以上に恐れています」
「還炎熱かどうかわかるまでは、私に看させてください」
「わかりました。陛下への許諾は俺が。まずは殿下を運びましょう」
ビクターは覚悟を決めると、カイゼルを抱えて部屋まで急いだ。