二度目の人生でかつての戦友が私を溺愛する
祈り文
私の願いは叶ってはいけない。
それでも…最期だけでも…
あなたのとなりにいたかった。
「ハナ!!」
「!!?」
え…??
今までたしかに「ここ」にいたのに、
ずっと夢を見ていたかのような感覚。
自分の手のひらを見て、こんなに細い指だったか
という違和感が頭を埋め尽くす。
私は今…どこにいるの…?
混沌とする思考回路をもう一度自分を呼ぶ声が
落ち着かせる。
「ハナ、急に固まってどうしたの?」
「リン…?」
「うん?」
目の前には心配そうに私を覗き込む愛らしい女の子。
私の妹リンネットだ。
軽やかなミディアムショートの栗毛は
彼女の明るい表情にすごく似合っている。
深い青の瞳は、私と同じ色はずなのに
私にはない温かみを帯びていて、ざわめく心を落ち着かせた。
「ごめんなさい、私…」
「一度保健室に行こう」
「ええ…」
「ハナ」
ドキリとして視線を上げる。
リンの隣で同じく心配そうに眉尻を下げる男の子。
「手を」
優しく差し出される紳士的な手を自然ととる。
「ありがとう…」
安心させるように優しく微笑む彼の笑顔。
その笑顔でまた一つ落ち着きを取り戻す。
ふとその奥に初めて見る顔があることに気がついた。
2人とは違い心配するふりもしない様子のその人。
凝視する私と目が合うと、少しの間見つめ合って
目をそらされた。
「ロイ…」
私はその日、前世の記憶を思い出した。
そう、私は昔…